副業の一つとして、電子書籍出版に目を向ける人が増えてきていますが、具体的な方法が分からないという人も多いのではないでしょうか?
出版と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、心配はありません。
特別なスキルや費用がなくても自分で出版をすることができます。代行業者の手を借りる必要もありませんよ!

この記事では、5冊の電子書籍出版を行った私が、具体的な手順を解説します。
電子書籍出版の副業について
電子書籍出版を行う場合、個人の副業に最も適しているのはAmazonのKindle本出版です。
Kindle本出版の良い点は、本が購入されることによって得る印税以外にも、収益が得られる方法があることです。
それがKindle Unlimited会員が読むページ量に応じた配当が得られるシステムです。
Kindle Unlimited
Amazonが提供する電子書籍読み放題サービスで、月額料金980円(税込)で対象となる200万冊以上の本が読み放題となります。
Kindle Unlimited会員に本が読まれると、1ページにつき、約0.5円の配当が得られます。
さらに、回数の制限はありますが、費用はかけずにキャンペーンを打つこともでき、Amazonのサイト内での上位表示も可能です。
上記のような仕組みもあるので、書籍を出版しても1円も稼げないということはまず考えにくく、初心者でも収益が発生しやすいのです。



ブログ等で稼ぐときと比較すると、収益化が圧倒的に早いうえに、月に数万円を稼ぐことも可能です。
有益な情報をコンテンツとして提供するという点では、ブログと似ていますが、Amazonのプラットフォームの力を借りることで、収入を得るという方法もあるというわけです。
電子書籍出版(Amazon Kindle本出版)の手順
ここからは、電子書籍出版の具体的な手順を示します。
大きな流れとしては以下のとおりです。
- 本の企画
- 執筆
- 仕上げ、校正
- 表紙デザイン
- 出版申請
①から順に解説しますが、まずはAmazonのKDP(kindle direct publishing)アカウント登録は済ませておきましょう。
既にAmazonアカウントを持っていれば、サインインを行い、追加で必要な情報を入力すれば完了です。
本の企画
本の企画では、テーマやタイトルの設定、類似本のリサーチ、目次(見出し)の構築を行っていきます。
やることが多く見えるかもしれませんが、電子書籍出版の中で最も重要な工程なので、順番に取り組んでいきましょう。


テーマ設定
まずは大まかなテーマを決めて、本の企画をしてみましょう。
とはいえ、テーマ設定の時点でつまずいてしまう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
▼テーマの設定が難しいと感じる方は、こちらの記事を読んでみてください。
ブログやkindle本出版で、ネタがないと感じてしまうあなたへ
テーマは、これまでの経験などから書けそうな内容で決めるとよいですが、需要のあるジャンルで設定するか、関連させることが重要です。
需要のあるジャンルの代表は、ずばり①お金、②健康、③人間関係です。
例えば、読書術をネタとして本が書けそうだと感じた場合に、単に読書術をテーマにするのではなく、「年収アップにつながる読書術」というテーマにすることなどを考えておきます。
キーワード、仮タイトル、想定読者を決める。
テーマが絞れてきたところで、キーワード、仮タイトル、想定読者を決めていきます。
先ほど大きなテーマを「読書術」+「年収アップ」としましたが、これだけではタイトルなどが見えてきません。
試しに、Amazon公式サイトのkindle本の中で、「読書術」と検索をかけてみましょう。
すると以下のような本が検索結果として出てきます。
「読んだら忘れない読書術」
「自己肯定感を上げる OUTPUT読書術」
「頭が良くなり、結果も出る! モテる読書術」
「人生を変え夢を実現させるための読書術」
見てみると分かるように、同じ「読書術」に興味を持つ人の中でも、読書術によって何を得たいのかは人によって異なるのです。
「読書術」というキーワード1語だけでは不十分で、「忘れない」「アウトプット」といった形で、2語目、3語目がかけ合わせることで、初めて読者の課題や悩みが明らかになると言えるでしょう。
メインのキーワードに続く、2語目、3語目の設定は、サジェスト(関連)キーワードから考えるのもおすすめです。



サジェスト(関連)キーワードは、ラッコキーワードなどのツールを使って調べてみて下さい。


タイトルについては、この時点では仮で構いませんので、キーワードから考えてみましょう。
例えば、「1カ月に10冊本を読み、年収アップを図る読書術」といった具合です。
タイトルの決め方は以下の要素を踏まえて、つい引き付けられる内容を考えてみましょう。
- 役に立つ、有益な情報
- 新しい情報
- 数字で効果を示す
- 好奇心を刺激する
- ギャップを感じさせる
- 即効性がある
想定読者もキーワードから考えていきます。
「読書術」+「年収アップ」をテーマとする場合は、例えば、サラリーマンである程度社会人経験を積んだ30歳前後の男性といった風に設定をしていきます。
類似本のリサーチ
設定したキーワード仮やタイトルから、類似本を探し、リサーチしてみましょう。
リサーチするポイントとしては、それぞれの本の分かりやすい点、新しい点等の整理が挙げられます。
リサーチをした本に、書こうと思っている内容が既に多く含まれていても問題はありませんが、あなた独自のエッセンスを少しで良いので入れたり、独自の切り口で表現したりしましょう。
似たような主張をしていたとしても、タイトルや、出版のカテゴリーが異なることで、あなたが出版した本にたどり着く人も必ずいます。
リサーチに関しては、必ずしも有名な著者の本ばかりを対象とする必要はありません。
むしろ、個人で出版を行っている人を参考にするのが良いでしょう。
理由としては、有名な著者は、読者ニーズに関係なく売れてしまうからです。



個人による出版であっても、評価が高い書籍は要チェックです。
目次(見出し)を構築する
目次(見出し)作成は非常に重要で、目次が決まっていれば、趣旨がぶれることなく安心して執筆を行えます。
目次(見出し)を構築する際も、先ほどの類似本のリサーチ結果を参考にしながら、自分なりに分かりやすい構成にしてみて下さい。
見出しの下に小見出しを入れた方が分かりやすい場合もあります。
執筆
本の企画ができたらいよいよ執筆に入ります。
重要なポイントとしては、電子書籍出版はWord形式のみで完結します。
EPUB形式等に変換する必要はありません。目次や図の挿入がある場合も同様です。
私自身、適切な形式での申請にはずいぶん苦労しましたが、出版申請の際にも問題ないことは後述するので、安心してword形式で執筆を始めて下さい。
全体的なイメージとしては、1冊のボリュームは1万5千字程度を目指すと良いでしょう。
文字数が多すぎると、特に電子書籍の場合は疲れやすく、途中で読むのを止めてしまう可能性が高いです。
逆に、文字数が少なすぎる場合は、読み手が不満を感じて評価が下がり、結果的に本が売れなくなることにつながります。


本文執筆
執筆は、目次(見出し)の構築ができていれば、あとはそれに応じた文章を書き進めるだけです。
ポイントを4つ挙げておきます。
- あなたが書きたい内容に加えて、リサーチした書籍やサイトの情報を頭に入れておいた上で、自分の言葉で文章化していくイメージで進める。
- 校正、文章の修正は後からするので、立ち止まらずに書き進める。(執筆と校正を同時にしない。)
- 1文に入れるメッセージは1つ。(1文の長さはなるべく60字以内に収める)
- 並列の内容は箇条書きにする。
これらのポイントに気を付けて執筆してみてください。
「はじめに」と「おわりに」、権利関係等を書く
本の出版では、「はじめに」と「おわりに」、権利関係といった内容があり、これらも重要な役割を持っています。
「はじめに」は、リード文としての役割を持っています。以下のような内容を入れることが重要です。
- 読者に「悩み」を認識・再確認させる。
- その悩みは「解決可能である」と伝える。
- 「記事を読んだ未来」をイメージさせる。
「●●という悩みを持っていませんか?」と初めに示して、悩みの解決につながることを伝えるのがおすすめです。
「おわりに」は、本の締めくくりのために重要な役割を持っています。こちらもポイントをお示しします。
- 「本書では〇〇について説明しました」と締め始める。
- 記事の要点。伝えたいメッセージを再確認する。
- 読者へアクションプランを提示する(自分の他の書籍や、SNS等に誘導する)
権利関係等も重要です。
著作権によって、あなたが出版する電子書籍の権利を守ってくれます。
例を示すので、参考にしてみて下さい。
●年●月●日 電子書籍版発行
著者:○○●●
発行者:○○●●
<注意>
この電子書籍の著作権は、すべて「○○●●」に帰属します。
本作品の全部あるいは一部を無断で複製・転載・配信・送信すること、ホームページ上に転載することを禁止します。
本作品の内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。
また、有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。
仕上げ、校正
執筆ができたら、仕上げや校正を行います。


図の挿入
図の挿入は、Wordの「挿入」を使うのが簡単な方法です。
最初にJPEG等の形式で保存したデータを一つのフォルダにまとめておくとよいでしょう。
PC内のフォルダから、挿入したい画像を選び、画像の挿入ボタンを押せば原稿に反映されます。
推敲
まずは、Wordの校閲機能での確認と、自分の目で読み返すことによる確認を行いましょう。
さらに、無料で文章をチェックするツールもあります。
ツールを使うと、長すぎる文章等が無いか等の確認ができます。



私の場合は推敲補助「すいこう君」というサイトを使って、校閲をしています。
改行と装飾
電子書籍として読まれる場合は、通常の紙の本で読むよりも疲れやすく、場合によっては途中までしか読まれないということもあります。
この疲れやすさに影響するのが改行です。電子書籍では意識して改行を多くしましょう。



2行か3行分の改行を行うのがおすすめです。
装飾に関しては、文章に適宜下線を入れることも有効です。
強調したい部分などに下線を入れて、読者にとって読みやすい本にしていきましょう。
見出しの整理
見出しは、一目見て内容が分かるようにする標題としての役割があり、後述する目次の自動設定のためにも必須です。
見出しの設定自体は簡単で、該当箇所をカーソルで囲い、ホームの中にある「スタイル」から見出しを選ぶだけです。
通常の見出しは「見出し1」を設定し、小見出しは「見出し2」に設定します。
見出しのスタイルの変更もできます。
「見出し1」の箇所を右クリックすると「変更」という項目があるので、変更画面で太字の設定にします。
また、右クリックの後、「選択箇所と一致するように見出し1を更新する」を選択すると、すべての見出し1のスタイル変更を一括で行うことができます。
目次設定
目次設定は、見出しの設定ができていれば簡単にできます。
ホームの「参考資料」タブから左端の「目次」をクリックし、「自動作成の目次1」を選択します。
設定した見出しが反映し、目次が自動作成されます。
さらに詳細な設定は以下のように行ってください。
- ホームの「参考資料」タブから左端の「目次」をクリックし、「ユーザー設定の目次」をクリックする。
- 電子書籍の場合、ページ番号は表示されないため、「ページ番号を表示する」のチェックを外す。
- 「ページ番号の代わりにハイパーリンクを使う」にチェックを入れる。
- アウトラインレベルは見出し2までしか使っていない場合は、2を入力。
表紙デザイン
本の内容がいくら良くても、表紙が興味を引きつけるようなデザインとなっていなければ、手に取られません。
なので、外注でデザインができる方におまかせするのもよいでしょう。
クラウドワークスやココナラといったサイトを通して、5千円以下で質のいいデザインを作れます。
(電子書籍出版で唯一費用がかかるのは、この表紙の外注を行う場合のみです。)
無料でも表紙デザインを作成できる方法についても紹介します。
私がおすすめするのは、Canvaというツールです。
このツールの良いところは、たくさんあるテンプレートの中に、「電子書籍の表紙」のカテゴリがあり、ベースのデザインを利用できることと、操作性が簡単であることです。
以下、具体的な作成手順を示します。
①想定読者やテーマを再度確認
②Amazonのサイトなどで、同じようなジャンルで売れている電子書籍の表紙デザインをリサーチ。
③Canvaのサイトで、「電子書籍の表紙」の中から、リサーチした表紙デザインに近いテンプレートを選択します。
④文字やグラフィック等を変更、追加しながら、理想のイメージに近づける。
⑤完成したら、JPEG形式で保存。
また、最初に決めた想定読書に合うような配色や文字のフォント等を検討してみましょう。



出版社が出版している本の表紙のデザイン構成を真似れば、素人感のない表紙に近づけることができると思います。
出版申請
原稿と表紙の作成ができたら、KDP(Kindle Direct Publishing)上で出版の申請を行います。
KDPにアクセスして進めていきますが、アカウント登録がまだの場合は済ませておいてくださいね。
①初期設定、②本の詳細情報、③原稿と表紙、④権利と価格と4つのステップがあるので、順番に入力していきます。
KDPジャンプスタートにも詳細は載っているので、本記事ではポイントをお示しします。


初期設定
「初期設定」については、解説すべきポイントは特にないので、KDPジャンプスタートを見ながら入力を進めて下さい。
初期設定は最初の1冊目だけ入力が必要で、2冊目以降の出版の際は不要になります。
本の詳細情報
次に、「本の詳細情報」です。以下のポイントに気を付けてください。
言語 | 日本語を選択します。 |
本のタイトル | フリガナやローマ字も登録します。 |
サブタイトル | 検索にかかりやすくなるので、関係するサブタイトルを入れましょう。 |
シリーズ | シリーズものであれば入力します。版も同様です。 |
著者名 | フリガナやローマ字も登録します。 |
内容紹介 | 本の内容の要約を登録します。 |
出版に関して必要な権利 | 「私は著作権者であり・・・」を選択します。 |
キーワード | 検索キーワードを7つまで入力します。 |
カテゴリー | 参照カテゴリーを2つまで選択します。 |
年齢と学年の範囲 | いいえを選択します。 |
内容紹介は、読者があなたの本を発見するきっかけになる箇所です。



本の導入部分を入力するので構いませんが、よりキャッチーなフレーズを入れてみても良いでしょう。
また、本文の目次もそのままコピーして紹介しておきましょう。
本の構成が分かることは読者にとってメリットがあり、購入にもつながります。
キーワードについては、本を企画する時点で、2語か3語のキーワードを考えていると思いますので、それらのワードを入れましょう。
原稿と表紙
次に「原稿と表紙」です。原稿も表紙もデータは作成済みなので、アップロードするだけです。
原稿はword形式で、表紙はJPEG形式でアップロードしてください。
権利と価格
最後に、「権利と価格」です。
KDPセレクトというのは、Kindle Unlimited会員が読む本の対象となることを意味しており、こちらの配当金によって収益が得られるので登録をおすすめします。
他のメリットは、Kindle Unlimitedではなく、書籍が売れた場合の印税が高くなること、キャンペーンの実施を行えることなどがあります。
注意点としては、登録後90日間はAmazon以外のプラットフォーム以外での販売はできなくなります。
ただ、楽天ブック等の他のプラットフォームに比べて、Amazonでの取扱い量が圧倒的に多いため、気にする必要はないでしょう。
KDPセレクトに登録する場合の販売最低価格は250円、販売最高価格:1,250円で、印税率は70%となります。
以上の入力を進めて、「kindle本を出版」をクリックすると、72時間以内に出版が行われます。



出版が確認出来たら、あなたも著者の仲間入りです!
本の売れ行きは、KDPの「レポート」から確認できますよ。
著者ページの作成
出版が無事にできたところで、著者紹介のページも充実させておきましょう。
KDPの「マーケティング」の中にある、Amazon著者セントラル内で設定できます。
行うことは写真のアップロードと略歴の入力くらいです。
この二つの入力を行うことで、著者に対して親近感がわきやすくなり、結果として本の売り上げにつながります。
まとめ
電子書籍出版(Amazon Kindle本出版)の手順を解説をさせて頂きました。
記事内にも書いたように、おおまかには5つのステップを順番に進めていけばOKです。
①本の企画 ⇒ ②執筆 ⇒ ③仕上げ、校正 ⇒ ④表紙デザイン ⇒ ⑤出版申請
まずは企画が重要で少し時間がかかるかもしれませんが、企画さえできれば、出版までは何とかなるはずです!



興味のある方はぜひチャレンジしてみて下さい。